しかくい日々をまあるく

日常をやわらかくキリトルトプス。

木になる

今宵は満月。
大きな木の下のベンチで強く抱き締めあう男女がいた。情熱的に絡み合っている訳ではない。お互いの肩に首を預けるように深く抱擁し、微動だにしない。

月明かりに照らされたその姿は神秘的ですらあった。なんだかまるで悲しい愛の逃避行の末、永遠に一緒になるにはこれしかないと、
二人で大きな木の一部になるための儀式をしているかのように見えt











…旦那と残業後に待ち合わせて飲みに行った帰りに発見したサラリーマンとOLっぽいカップル。
美味いクラフトビール数種類とつまみを堪能してほろ酔いの私たちは、通りすがりにその二人を存分に見物した。


旦「木になってたね」
私「ね、木になってたね」


木になるという言葉が爆誕した。


その後も電車が揺れて旦那が私の方によろけた瞬間に
「ちょっと!!今木になろうとしたでしょ!!!」と言いがかりをつけるなど、
不意に体が触れそうになるたびに新しく誕生したこのお気に入りのワードをやたらに使いまくった。


夜の東京は木になりそうなカップルがたくさんいます。
汎用性高いな。